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上海ルージュ 鞏俐(コン・リー)の映画1

投稿日:2月 9, 2020 更新日:

『上海ルージュ』(原題:揺啊揺, 揺到外婆橋)は張芸謀監督の1995年製作の中国・フランス合作映画である。鞏俐が上海のナイトクラブで夜な夜な赤いで包まれた衣装をまとい、歌姫を演じる。何曲も舞台で歌われるが吹き替えなしの自らの歌であり、レコードとしても販売されているくらいである。

原作は李暁の小説『門規』。『秋菊の物語』『活きる』と、リアリズム的な作風に転換したかに見えた張芸謀監督だが、この作品は『紅夢』以前の強烈な色彩感覚を持った映像作品に戻っている。コン・リー30歳での出演作である。

歌って踊る夜の歌姫

あらすじ

1930年、少年・水生(shuisheng)は、叔父のリウを頼って大都会・上海へとやってきた。リウはアヘンと売春組織を取り仕切るギャングで町の顔役・唐(tang)旦那の元で働いていた。水生は唐の愛人で上海一の歌姫である金宝(jinpao: 鞏俐)の召使として働くことになる。だが金宝は唐の右腕で第一の部下である宋(song)とも密かに関係を持っていた。水生は一見華やかな生活を送る金宝の、決して満たされぬ寂しい心の内を知ることになる。やがてギャング同士の抗争が激化し、金宝や水生は唐と共に遠く離れた小島にある秘密の隠れ家に向かうことになる……。

小島からの海を臨む

揺啊揺, 揺到外婆橋

小島には夫を亡くした女と10歳ぐらいの少女との母娘がつつましく暮らしていた。金宝は時々その親子の家を訪ねて話をするようになったが、偶然その母親には夜船で訪ねて来ては逢瀬を重ねる男がいること知った。ある夜母親に会いに船で島に来た男は敵のギャング団の侵入者を警戒中のギャングに運悪く見つかり敵と思われて殺されてしまう。金宝に打ち解けてきた母親は金宝に亡くなった夫の弟といずれ一緒になると恥ずかしそうにそしてうれし気に語った。金宝は既に殺された男がその弟であることを知り、「私たちさえこの島に来なければよかったのに」と悲しそうに言うが、母親はそれが何を意味するかには気が付かない。

 

岸辺の夕暮れ時、水生と少女が遊んでいるところに、田舎女の恰好をしておどけた感じで金宝がやってきた。少女は貴方のような歌姫になりたいと金宝に語り、金宝は「じゃ何か歌ってご覧なさい」と試すように言うと、少女ははにかみながら1曲しか知らないと言いながら童謡を歌い出した。「揺啊揺, 揺到外婆橋…ゆらゆらとお船に揺られていくと、おばあちゃんがいる橋に着いた…」、途中から金宝も一緒に歌い出した「おばちゃんは、いい子ねと言ってお菓子をくれた。」

「揺れて」」と歌う金宝

 

「どうしてこの歌を知っているの」と驚く少女に金宝は「田舎にいた子供時代におばちゃんに教わってよく一緒に歌った」と答える。少女時代に戻ったような金宝と少女の合唱を笑って聞く水生。岸辺の水面に夕陽が反射して揺らめく3人のシルエット。

大都会上海の夜の歌姫として華やかな生活をしている金宝だが、貧しい島の母娘とふれあいから昔の素朴で無垢だった少女時代を思い出していく。しかし、金宝にも、そしてこの母親にも過酷な宿命が待っていた…。

 

夕暮れの中の3人

 

 

 

原案の小説は「門規」である。このような単語はどの中国語の辞書にも載っていない。「門」には中国でも、一族とか一家とかいう意味があるので、「ギャング一家の掟」というような意味合いの書名かと思われる。その小説を基にして制作した映画に監督は童謡の歌詞を持って来ている。ギャングの抗争だけではなく、田舎の素朴な少女がやがて夜の世界の華々しさの中で我が身を滅ぼしていく姿に焦点を当てたかったのではないだろうか。童謡を歌った島の少女もやがて上海で夜の歌姫になっていく…そんな暗示だろうか。

 

監督はこの作品を失敗作と位置付けているようだが、この作品を最後に張芸謀と鞏俐は一時コンビを解消しており、2人のプライベート関係の終わりが自作の評価にも反映しているように思える。

 

因みに、アメリカ公開での題は名は「Shanghai Trad」つまり「上海のギャング」であるが、日本公開での題名が「上海ルージュ」。確かに、金宝役の鞏俐は常にルージュの口紅をしており、フランスとの合作映画でもあるからだろう。

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