中国で働く人々 中国の制度

中国の身分証には民族名がある

投稿日:1月 2, 2018 更新日:

中国の人は身分証を常に携帯しなければならないことになっています。国内の宿泊設備に泊まるときや郵便物を受け取るときにも提示する必要があるようです。この身分証をなくすと、あらゆる公共のサービスが受けられなくなり大変なことになってしまします。

隣の省に遊びにいくにも身分証携帯しないと帰れない

あるとき職場の慰安旅行がありバス1台をチャーターして隣の浙江省に観光旅行に行ったのですが、帰りのバスの中で総務の李係長に言われました。上海市に入るときに公安が乗り込んで来て、中国人は身分証を、外国人はパスポートを提示させられるので準備してくださいと。私は慌てました。事前に彼からパスポートを携帯するようには言われてましたが、それは何かあった時にあった方がいい程度にしか理解していませんでしたので持ってきていなかったのです。

むしろ、携帯していて紛失する方がより大変なことになるとの思いが先行していました。日本で言えば浦安の東京ディズニーランドで遊んで帰るときに、東京都に入ったとたんに全員の身分を確認されるということと同じことです。身分証もパスポートも持っていない私を公安がどう扱うのか不安に駆られましたが、幸いなことにその時は観光シーズンで公安の手が回らず私の乗ったバスには公安が乗り込んできませんでした。
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地方から出てきた人が企業に就職するときもこの身分証の提出が必要になりますが、農民工の出入りは頻繁で企業側のチェックも甘いので他人の身分証で年齢を偽って就職することも珍しくありません。(→短期間で日本語1級試験を合格した若者の前途

身近にいた少数民族の人々

生産技術部門の馬さんは社内にいる日本語検定1級合格者3人のうちの一人で、日本人と変わらない日本語を話していました。大学で日本語を専攻していましたが、電気機器の知識が豊富なので電機系の生産技術を担当していました。ある時彼がモンゴル自治区の出身であることが分かりました。そして、身分証を見せてくれて、そこには「民族:蒙古」と書かれていました。

私は人事課の呂係長に、民族による管理上の差はあるのかを聞いてみましたが、都市籍と農村籍との間に差はあるが、民族間には差がないとの説明でした。それではなんで身分証に民族を記載させる必要があるのか疑問を感じましたが、それ以上の追究ははしませんでした。

中国には漢民族のほかに55の少数民族がいると言われており、人口の全体に占める割合は8%です。中国政府は各民族ごとに集住地域を「区域自治」の領域として指定していて、そこでは独自の権利や省令の制定権が認められてます。その地域で権利を受けられるかはその民族であることを示す身分証が必要となるでしょうが、それ以外の地域では特に民族の表示は必要がないものと思われました。

上海の会社では中国における労働問題に関する外部のコンサルタント会社と契約していて、月に1回コンサルタントが出向いてきて1時間ほど相談に乗ってもらっていました。中国での労働者意識や労働習慣が違うため、日本の感覚で処理をすると、労働問題にまで発展する可能性があるため事前にコンサルタントに意見を聞いてから処理をすることにしていました。

このコンサルタントが30代後半と思われる朴さんという女性でした。彼女は日本語が上手で、日本語で会話していて何ら違和感を感じないレベルでした。なんでもざっくばらんに話す人でしたので、こちらもざっくばらんに、朴さんという名前からすると朝鮮族の方ですかと聞くと、そうですと何のためらいもなくすぐに返事が返ってきました。

また、会社の宴会で民族衣装をまとって伝統的な踊りをするチベット族の社員がいたり、結構少数民族が身近に居たりしました(→中国では忘年会?新年会?)。国民の8%が少数民族ですので、1500人を擁する会社には単純計算ですと120人の少数民族がいることになります。それほど驚くことでないことかもしれません。

身分証の実際は・・・

中国の身分証明証は正式には「居民身分証」と言い、満16歳になると家族の戸籍を基に地方公安局から発行されます。

表には「中華人民共和国 居民身分証」と書かれ、発行機関書がかれています。発行機関は所轄の公安局になります。公安とは警察のことですから、中国で戸籍を管理しているのは警察であることが分かります。日本では地方自治体の戸籍係が管理することを警察がやっていることになり、個人管理を警察が取り仕切っている中国の実態が見えてきます。

実際の身分証を見て聞くことにしましょう。まず表面です。

一番下段が有効期限です。有効期限は通常20年です。

身分証の表面

 

身分証の裏面には本人確認のための個人情報が記載されています。「姓名」と「性別」の次に「民族」の欄があり漢民族の場合は「漢」と記されます。続いて「出生」で生年月日を西暦で記載して最後は「住址」つまり住所になりますが、住所は現住所ではなくあくまで戸籍のある住所なので、簡単には変更できません。

身分証の個人情報欄

 

中国の条例では三日間以上、外泊する場合は、行先の現地所轄公安局に臨時で登記することが義務付けられています。ホテルに投宿する場合は、ホテルのフロントで宿泊登記することで済みます。私のような日本人駐在員がホテルに泊まる際には代わりにパスポートを提示します。

三か月以上、住登記住所を離れて暮らす場合は、実態に合わせて臨時登記を延長するか、移転登記をしなければなりません。これに正当な理由が認められない場合は、元の住所に戻らなければなりません。上海の日本企業など国策で誘致している企業で働く農民工に対しては、これらの規制が緩和される特別な措置が取られています。

一番下に「公民身分番号」という戸籍を持つすべての中国公民個人に対して1対1で対応する終身不変の18ケタの公民身分番号が割り当てられています。都市・農村を問わず、軍人等を除くすべての中国公民は自分の戸籍を所轄する公安局から居民身分証の発給を受けなければならないとされています。

ちなみに、戸籍に比べて身分証の再発行は比較的容易であるために他人に譲ったり、偽造品が売られたりされることが多く発生しています。大学卒業証書や身分証など証明書類偽造の請負業者が街中でたむろして「客引き」している風景がよく見られたそうです。そのため現在では偽造防止のために非接触式ICカード技術を駆使した新しい「第二世代身分証」が全国に展開されているようです。
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