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金城武のことを中国ではどう呼ぶのか

投稿日:12月 24, 2017 更新日:

映画俳優の金城武は日本でも名が知れていますが中国でも大変人気があります。私がこの台湾生まれで日本や台湾だけでなく中国で活躍するの彼に興味を持ったきっかけとなったのは、赴任した上海の工場で人事課で仕事をしていた呂係長でした。

西安で日本人観光客向けのガイド

人事課の呂係長は、私が上海に赴任した時は20代前半の若い女性でまだ係長になる前でした。日本から赴任者があると日本語の達者な彼女が就労ビザ発行や身体検査などの一連の手続きを同行して面倒を見てくれるのでした。赴任したばかりで何事にも不案内な身としては、てきぱきと事務処理を進めていく彼女は頼もしい存在でした。

何かと所用があり上海市街に行くときは彼女を通訳として同行してもらいました。工場のある嘉定区か上海市街までは車で1時間ありましたので往復の車の中で彼女からいろいろなことを教えてもらうことができました。中国に関する基礎的な知識はまず彼女から教わったと言ってもいいでしょう。

彼女自身のこともは話してくれました。彼女は福建省の出身で西安にある大学で日本語を専攻しました。日本語を専攻した理由は、日本のドラマやアニメをテレビで観て日本に関心を持ち日本語を学ぶことが将来の就職にも有利との理由のようでした。

中国の大学には本科と大専とがあって、本科が日本の大学と同じで4年制で、大専は3年制ですが、その名の通り専攻に特化した教育で日本の短大というよりは専門学校に近い性格のものです。彼女はその大専で3年間日本語を話すことに特化した教育を受け中国での日本語検定の2級に合格していました。

彼女は大学を卒業したあと西安に留まり観光ガイドをしていました。古都西安を訪れる日本人観光客は大変多く、日本語の達者な彼女は大学時代にアルバイトでしていた観光ガイドを卒業後も本格的に続けていたのでした。
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1年ほどして、いつまでも観光ガイドを続ける気のない彼女は同じ大学で日本語勉強した仲間を誘ってふたりで上海にでてきました。そうして二人とも私の勤める会社の上海法人に就職したということです。今一人の女性は生産管理部に在籍していましたがおとなしい性格であまり日本語も上手ではありませんでした。しかし呂さんの方は、日本が流暢なだけではなく、仕事ぶりもスピーディで確実であるために日本人からも中国人からも信頼されていました。気が利いていて調整能力もある彼女には人事課の仕事は向いているように思えました。

メールアドレスに”takeshi”がある

その後私は人事部も見るようになっことから、彼女からの直接報告をうけたり、上海市街で3カ月に一度開催される人材募集の合同説明会に連れて行って貰ったりと彼女を通して仕事とそして仕事以外に関することでも中国に関するのいろいろな知ることができました。仕事のない休日でもメールでやり取りをするようにもなりました。そして彼女の使うメールアドレスがtakeshi@で始まっていることに気が付きました。

あるとき彼女に「メールアドレスにあるtakeshiとはビートたけしのことなの」と冗談半分で聞いてみました。日本について詳しい彼女は当然ビートたけしのことは知っているはずでしたし、彼女がビートたけしに関心などないことを承知の上で聞いたのですが、彼女はにこりともせず「違います。金城武です」ときっぱりと言いました。

中国ではネットで無料の動画サイトがたくさんあり、それぞれで日本コーナーを設けて日本の映画やテレビ番組を著作権を無視してアップされていました。彼女は日本語の勉強もかねていろんな映画を見ているうちに金城武のファンになりメールアドレスにも使うようになったとのことでした。中国の映画にも出演しているので、それらは全部見ているとのことでした

中国の姓は一文字が圧倒的に多い

金城武については名前は聞いたことがあるといった程度でしたので、ネットで調べてみると台湾の台北生まれで日本国籍、父親が沖縄系の日本人で母親は台湾人。日本語、台湾語、中国語を流暢に操りそれぞれの国の映画に数多く出演とありましたので、それ以来関心を持つようになりました。

その直後に映画「赤壁」が公開となり金城武が出ているというので、私の住む上海市の嘉定区にただ一つある映画館に見に行きました。諸葛孔明という重要な役回りで、出番も多く主役に次ぐ位置を占めていましたので、中国でも評価されている俳優であることを改めて認識しました。

 

ところで映画のエンディングで出演者の名前が流れるのを見ながら気になったことがありました。日本では姓と名との間を一文字分開けることが多いのですが、中国では一切そういうことはありません。中国語の性で2文字のものはほとんどありません。せいぜい諸葛孔明の諸葛か、欧陽菲菲の欧陽と司馬ぐらいです。ですから、中国人の名前が出た時に最初の文字が姓で、その後に続くのが名前なのが圧倒的であるため、姓名の間を区切る必要がないのです。

「金城武」の読み方

日本では「金城 武」と表記することが多いですが、「金城武」とも表記します。一方中国では「金城武」の表記しかありません。映画のエンドロールの「金城武」を見ていて、最初の「金」が姓で、「城武」が名前、つまり彼は「jin chengwu」という中国人だと思われているのではないかという疑問が生じたのです。気になった私は呂係長にその疑問を投げかけました。すると彼女は「そうですよ」といとも簡単に答えたのです。

「でも」と私は反論します。「映画のスクリーンに名前が出るときは漢字の上に小さくピンインが付記されるけど、金城武の場合は『kaneshiro takeshi』とでるから日本人だと分かるんじゃない」。彼女は答えます「中国人はいちいち漢字に付けられたピンインを読んだりしません。読めない漢字が出た時だけピンインで確認するのです」。それはそうだと私も納得して黙るしかありません。

中国人は外来語を音の近い漢字に置き換えたら最後、原音を無視してその漢字の発音通りにしか読みません。「金城武」という誰もが知っている漢字が3つ並んでいたらjinchengwuとしか読まないのは必然です。それがどうかしましたかという表情でみられた私は、彼が日本人だということをことさらに強調したがっている自分を見透かされたようで、それ以上何も言えませんでした。

その後に「武侠(邦題:捜査官X)」という映画が公開されましたが、これは映画館ではなく動画サイトで見ました。主演のドニ―・イエンとの絡みが秀逸で、金城武は四川省の訛りで演じ、語学能力の高さを披瀝しました。

戦後の台湾を描いた映画「太平輪」

また、最近では2014年に「太平輪I」、2015年に「太平輪Ⅱ」(英語題名The Crossing)が公開されてました。日本では未公開ですがYouTubeで見ることができます。ストーリの概略はこんな感じです。

金城武は日本軍の軍医として中国大陸の戦線に参加し捕虜となりますが、実は台湾人であり日本からの徴兵で日本軍に参加してしていました。当時は台湾人は日本国籍を持った日本人でした。彼には日本人の恋人(長澤 まさみ)がいましたが、終戦と同時に国民党の命令により日本に引き揚げさせられていました。

台湾に戻った彼に母親は二二八事件で銃殺された兄の嫁と結婚するように強要します。母親は日本から送られてくるかつての恋人からの手紙を息子には見せずに燃やしていました。彼の弟は台湾に吹き荒れる国民党の白色テロに反発して上海に渡り、反国民党運動に加わります。弟を連れ戻しに行って上海に渡った彼でしたが、それもできず、当時の上海と台湾基隆市を結ぶ定期航路の客船「太平輪」に乗船しむなしく台湾に戻ろうとします。

「太平輪」は1942年の1月に貨物船と衝突し沈没して、乗っていた1000人が死亡したったの50人程度しか救助されませんでした。この沈没事故は中国のタイタニック号沈没事故と呼ばれています。この沈没事故をモチーフに、抗日戦士の英雄である国民党軍の若い将軍(黄暁明)とその妻(ソン・ヘギョ)の愛、台湾に徴用された恋人を追って台湾に行きたいがために、売春までして高い大変輪の乗船券を買おうとする女(章子怡)など戦争によって人生を翻弄される人々を描いた大作です。

中国映画にしては珍しく出てくる日本人が普通の人間として描かれており、戦後の台湾の苦悩もそれなりに描かれています。金城武も日本語と台湾語そして北京語と使い分けており彼ならではの役回りと言えます。ところがこれだけの豪華キャストで巨額の費用で製作された映画でしたが評判が良くなく興行収益も伸びず、日本での公開も見送られてしまいました。

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