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中国での日本語能力試験1級には日本人でも合格できない

投稿日:12月 24, 2017 更新日:

上海市郊外にある私の工場での専門職の人材採用に当たっては日本語ができることが最重要条件でした。日本語ができなくともそれなりの専門技術があれば採用になりますが、日本語ができる人の下につかざるを得ない状況になってしまいます。

3級が入社の条件

中国では日本語能力試験があり大学で日本語を専攻していれば3級は合格できるレベルにありますが通常2級に合格して卒業します。日本語ができることを条件に入社して来る人は3級が必須となります。彼らは2級を目指して仕事しながら日本語の勉強を続けています。中国では仕事のスキルと資格をステップアップしながら、より条件のいい会社に移っていくのです。当時工場には2級を受かっている人が8人ほどいましたが、仕事で日本人と会話してほとんど違和感のない日本語を使っています。その人たちがなかなか1級が受からずに苦労していました。
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一度日本語能力試験1級を目指して勉強している中国人スタッフに試験問題集を見せてもらったことがあります。それを見て日本語の講釈もひとつは垂れようかとの魂胆も多少はありました。ところがその問題集の質問を見て私は愕然としてしまいました。

日本人が知らない日本語の問題

能力試験の問題は全て4択でした。そしてこんな問題が延々と続くのです。

【次の文章それぞれの(       )部分はどのような言い方をすればよいでしょうか。最も適切なものを選んで、番号で答えてください。】

(1)竹馬の友と二十年ぶりに再会を果たし、久闊を(           )た。

①叙し ②癒し ③献じ ④潤し

(2)〈夫婦連名で贈り物を送ってきた知人への礼状で〉 ご厚志誠にありがとうございます。ご(           )にもくれぐれもよろしくお伝えくださいませ。

①令慈 ②令人 ③令閨 ④令堂

(2)の答えは「令室」のはずです。でもそれは選択肢に入っていないのです。私は一気に自信を失いました。「こんな問題は日本人だって解けやしないよ」と思わず叫んでしまいました。これであんなに流暢に日本語を操る彼らが2級でしかなく、何度1級の試験を受けても合格しないのかが理解できました。私自身でも合格する気がしません。

ところが社内にはこの日本語検定1級に合格している人が3人もいるのです。二人は大学の本科で日本語を専攻した人たちですが在学中に1級の試験に合格していました、もう一人は中学しか出ていない18歳の総務の青年でした。この試験に合格するには、日本語に如何に通じているのかではなく、如何に過去問の答えを多く記憶しているかに依存するのだと確信しました。

「の」は中国人が大好き

人事課の呂係長も2級保持者でしたが、1級がなかなか受からないでいつも勉強をしていました。きれいな日本語を話すことができるのですが、一つだけ間違って使っている日本語がありました、それは「の」の使い方です。日本語の「私の名前」、「調査の対象」は中国語で「我的名字」、「調査的対象」となるように、日本語「の」はほとんどの場合中国語の「的」に置き換えることができます。しかしその逆はかならずしも真ではありません。

日本語では形容詞と名詞はそのままつなぎますが、中国語は「的」でつなぎます。「白色的花」、「大的樹」となるわけですが、これを日本語にするときに「白いの花」、「大きいの木」と「の」を入れてしまうのです。彼女の上手な日本語の中に時々この不要な「の」が現れてます。なめらかな流れの中に一か所淀みがあるかのごとしですが、彼女の場合は逆にそれが一つの愛嬌にも思えたので、あえて指摘をしたことはありません。

車の中から上海市街の通りを眺めているとよく日本語の文字の「の」が飛び込んできます。お店の看板に「月の光」のように国語の漢字の間に唐突に「の」が挟まれているのです。スーパーで買う製品のパッケージにも突然現れるものもあります。どうもある時期日本語の「の」が流行した時期ががあったようでその名残らしいのですが何故流行ったのかはよく分かりません。中国人にとって日本語がちょっと入ることが洒落ていると感じる時期があたことは確かなようです。

中国語には日本語の助詞にあたる言葉がありませんので、日本人でも難しいと感じるこの助詞の使いかたは苦労しているようです。流暢な日本語を話す人がいて、もしかして日本人ではないかと思う人でも、助詞を一つ間違えるだけで日本人ではないと一瞬で分かります。それほど外国語の言語の習得とは難しいのですが、ネイティブと思われる必要もなく、多少間違ってもコミュニケーションをすることが目的だと割り切れば完璧さを目指す必要はないように思います。因みに日本語検定の1級を持っている3人は、この助詞の使い方を間違ったことはほとんどありませんでした。

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