上海のスーパーに行きますと豆菓子のコーナーがあり、ありとあらゆる豆のお菓子が並んでいます。町の通りを歩いていると気が付かづに通り過ぎてしまう駄菓子屋のような小さな店もありました。それは奥行5mほどの細長い小さな店で、中に入ると、両サイドに腰の高さ程の棚が10ぐらいに仕切られその中にそれぞれ同じ種類のお菓子が山盛りになっています。
個装のものと小さいものが何個か纏めて入っているものとがあり、客はおいてあるポリ袋に種類ごとに欲しいだけの量を入れてレジに持って行くと重さを測って値段を言われます。いわゆる量り売りです。置いてあるお菓子はナッツ類が多く若い人が良く買いに来ていました。なぜか懐かしい感じがして時々除いて食べたことがないようなものを何種類か袋に入れて買ってみたものです。
杏仁とはアーモンドのこと?
そのなかで特に気に入ったものに「焼烤殻杏仁」というものがありました。「焼烤殻杏仁」は文字通り大きな殻に入ったナッツを殻ごと焼いた、というよりは燻煙したようなものでして、殻を割って中のナッツを食べるのですが、燻製の煙臭い味とともに少しバニラの味のする、日本ではかつて味わったことのない独特の風味がしました。最初はこの癖のある匂いと味が苦手でしたが、食べているうちにこれがたまらず好きになりついには病みつきになってしまいました。なかのナッツ自体はどうもアーモンドに形も味も似ています。
「杏仁」は本来は杏子(あんず)の実のことですが、このお菓子に使われているナッツは同じ仲間のアーモンドが使われていた可能性があります。中国ではこの二つが混同している場合が多いということなので、もしかしたらそうかもしれません。
同じようにこの焼烤殻杏仁に病みつきになっていた同僚がいたのですが、先に帰国した彼に何カ月か経ってお土産にとこの焼烤殻杏仁を一袋買って帰ったところ泣いて喜んでいました。日本でどこを探しても同じようなものが売っていなかったからです。
心を開いた果実とは?
もう一つ病みつきになった豆に「開心果」というのがあります。小ぶりの白い殻に入った緑色の木の実で、特別な味付けははしておらず自然のままの味で炒ったものでした。これは最初から美味しいと感じ、食べだしたら止まらなくなってしまいました。白い殻が少し割れたすき間から緑の実が少し覗いた見える形が、まるで心を心を開いているようだと着いた名前だと一人合点して面白がっていました。

開心果の袋
この豆は日本に帰国して難なく見つけることができました。コンビニのお菓子コーナーに普通に売られていたからです。試しに買ってたべたところまさしく「開心果」そのものです。袋には「ピスタチオ」と明記されていました。
このピスタチオなるもの、名前は聞いたこともあるし、見たこともあるような気がしてきましたが、食べてみた記憶はありませんでした。どうもヨーロッパ系のお酒のつまみとして昔からあるようで、中国固有のものではないようです。調べてみると、「ピスタチオはイランが一番の生産国だが中国ウィグル自治区も特産地のひとつで中国語ではその一辺が裂けて中が見える形状から開心果と呼ばれている」とありましたので納得しました。それ以後、外でビールを飲むときはピスタチオを注文して、殻を割って実を食べながら上海のあの中国に駐在をしていたころを思い出し懐かしんでいます。
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