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中国の理髪店に行って困ったこととは(ある決断)

投稿日:10月 22, 2017 更新日:

中国に観光や短期滞在で言った時には特に気にならないのですが、長期駐在していて困ることに散髪があります。中国での理髪店は日本でのそれとはだいぶ様子が違っていました。

私が駐在していた上海市の嘉定区市街では美容院と理容院の区別はありませんでした。男も女も同じ美容院に行きます。日本のように個人経営の美容室や理髪店といったものは見かけたことはなく、少なくとも10人くらいの従業員を抱えた大型店ばかりです。授業員は若い人ばかりで男女同数ぐらいです。

どの店も朝の開店前と夕方に店の前の歩道に出て、景気づけをした後にみんなで体操をします。体操といっても流行りの曲を流しながらリズムカルに踊るものですので、見ていても楽しいものです。仕事の休みの日に朝寝をしていますと、下の方からこの軽快なテーマ音楽が流れてくると少し元気が出て来て「さて起きなくては」と思ったものです。

店の雰囲気は日本の大型美容院と同じ感じですが、日本の美容院の入り口はおとなしく、高級感を出そうとして落ち着いた感じが多いですが、中国は店頭の電光掲示板が忙しく走りまわったり、立て看板も派手なのが普通です。どうやら日本のヘアスタイルが人気らしく、「名古屋式ヘアスタイルができます」などと言った日本の地名の付いた髪形のアピールをよく見かけます。なぜそのような命名をしているのかよく分かりません。

中国に赴任してまだホテル住まいをしていた時にまず困ったのが散髪のことでした。日本のようなこじんまりとした落ち着いた理髪店がなく、派手で若い従業員が大勢待ち構える美容院に入るのには抵抗感があったことと、入った後に頭をどういう風に刈ってもらうかを中国語で言わなくてはなりませんので、それほど会話に自信のない身としては二の足を踏んでいました。

しかし、ためらっているうちに髪は伸びる一方ですので、もう猶予はありません。ある時ついに意を決してホテルと同じ建物の1階にある美容院に入りました。入ると若い男性の店員が寄ってきて開いている席に案内してくれて、日本のように白い布を首周りに掛けてくれました。そして何やら耳元でささやきました。

多分「どのようにしますか」と聞いているのだろうと思い、「今のままの髪形のままで少し短くしてほしい」と辞書を引きながら予め書いておいたメモをポケットから出して見せたところ、頷いて散髪が始まりました。日本と変わりのない進み方に私はこのまま何とか行けそうだなと少し安心しました。しかしまだ油断はできないと、鏡に映るだいぶ量も減り白いものも目立つようになった我が頭の成り行きを不安を抱えて見守るしかありませんでした。

断るときはきっぱりと断るのが一番

やがて心配したようなことは起こらず、もとの形のままで短く刈られた頭をやれやれと眺めていた時に男性店員は何か容器を持って来てそれを見せながら話し掛けてきました。よく聞き取れずに何度か聞きなおした後に分かったのはそれが白髪染めの染色剤であることでした。私は迷うことなく要らないと中国語できっぱりと言いました。

中国で商店街や観光地を歩いていると得体のしれない売り子がいろいろなものを売り込んできます。そういう時は一切関心を示さず冷たく「不要buyao」と言わなければいけません。曖昧な返事をすると脈ありとみてどこまでも追いすがってきます。それを身をもって学習した私は「不要」という言葉はすぐに覚えましたし、正確に発音することができました。

美容院の男性店員は私の言った「不要」をまるで分からなかったような様子でなお説明を続けてきました。彼は、中国では白髪は年寄りに見られるので必ず染めるのだといいました。どうやら私が日本人であることを先刻承知のようで、拒否されてもひるむことなく料金も安いよといいながらなおも白髪染めを勧めてきます。ここは市内でも高級な方のホテルで白人や日本人が多く宿泊しています。中国語が上手ではない東洋人は日本人と相場が決まっていました。日本人は金持ちなので白髪染め代などけちるわけがないと思っているのかもしれません。

中国でほとんど見かけない白髪老人

確かに彼が言うとおりに、中国に住んで1カ月余りが過ぎていましたが、白髪の老人を見かけたことがありませんでした。中国のテレビを見ていても白髪の老人は時代劇に出てくる仙人ぐらいで、それ以外に白髪まじりの人が出てきたためしがありませんし、ニュースで中国共産党の長老たちが揃って映っても皆さん黒々としかもフサフサの頭しかしていません。

 

中国にはロマンスグレーという美的感覚は全くないようでした。そして中国人は中国4千年の東洋医学をもって白髪にならないすべを身に付けているのかもしれないと漠然と考えていましたが、そうではないことが分かりました。

それでも私が首を横に振るので、彼は引き下がるどころか更に熱心に説得をしてきましたが、それ以上何を言っても「不要」しか言わない私についにあきらめ不機嫌そうに行ってしましました。

店の奥の怪しげな部屋

やれやれと思い、散髪もそろそろ終わりかなと思っていると、次に若い女性がやって来て、耳掃除をしてくれました。痒い所に手が届く気持ちい耳掃除が終わった後に、彼女は何やら耳元でささやきました。意味が分からず、斜めに彼女を見上げると、店の奥にある部屋のドアの方を指差して妖艶に微笑みました。どうやらそこでマッサージの有料サービスを受けないかということのようでした。ここが高級ホテルと入り口を並べる美容院であることから、まさかとは思いましたが彼女の言葉の端々からそのマッサージがどういう類のものか想像がつきました。私は思わず首を横に振りましたが、彼女はなおもしきりに勧めてきます。私はだんだん不愉快になってきましたので「私は散髪をしに来たのであり、マッサージを受けに来たのではない」と明確に告げました。その中国語がどこまで通じたかは分かりませんが、彼女はそれまでの愛嬌のある表情からいきなりこれ以上不愉快なことはないといった顔に豹変してプイと向こうに行ってしまいました。

理髪店に行かなくて済む方法の決断

何とか料金を支払って店を出た時には正直言ってほっとしましたが、同時に不快感が込み上げて来て二度と中国の美容院には入るまいと心に決めました。しかし、部屋に戻って冷静になって考えると、田舎からの出稼ぎである彼と彼女はもともとの基本給は少なく、染色やマッサージのサービス料の歩合で何と故郷への仕送りする分の収入を確保していることに思い当たりました。私の工場で働いている農民工である従業員も同じで、残業代で自分の生活費以外の仕送り分を稼いでいました。勧めたサービスが一度断わられたぐらいで引き下がるわけにはいかないのです。

そうはいっても、また、美容院に行ってそれらのサービスを受ける気にはなりませんし、それを巡る攻防戦をもう一度する気にもなれず、どうしたものかと思いあぐねてしまいました。それから二カ月後私の髪はこれ以上放置できないほど伸びたのですが丁度帰国する時期でもありましたので帰国して散髪屋に行けばよいと考えていました。しかし、また中国に戻ってからどうしたらいいのかを考えると憂鬱になりました。そして考え抜いた私はついにある決断をしました。

私は日本に帰国している間に市販の電動のヘアカッターセットを購入し、自分で頭を丸刈りにしてしまいました。そのヘアカッターを中国に持ち帰り、以後は丸刈りのヘアスタイルで通すことで、私の散髪問題は解決しました。

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