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上海のお役人とのお付き合い【郷に入らば郷に従え】

投稿日:5月 4, 2017 更新日:

お役人を接待することが時々あります。恒例になっているのは税関の担当役人ですが、課長、係長クラスを年1回高級な料理屋で接待します。急に受注が増え生産体制が間に合わない時など日本の本社から製造機械を急遽運んで対応しなければならない時があります。機械が税関に到着したのに税関での検査が必要だとかなんだかんだと足止めをされる時があります。

そんな時は税関係の林(lin)係長が交渉に行って何とかするのですが、交渉が難航するときは、私が一緒に行って交渉します。私が交渉するといっても実務の中国語など手に負えるものではないので名刺交換して簡単な世間話をして談笑したあとはニコニコして林係長の交渉を見守るだけなのですが、これですんなりと許可が下りてしまうのです。日本人の幹部が挨拶に来たというだけで彼らの自尊心は満足し、面子が立つためです。そのお礼も含めての接待になるわけです。税関のお役人には比較的紳士的だとの印象を持っています。

中国には共産党以外の政党がある?

工場の安全管理の監査が毎年あり、区の管理委員会の役人がいつも2名で来て調べて行きます。最初だけ挨拶に顔を出しますが、あとは総務の李課長に一任します。監査は1日かかるため、昼食は近くの日本料理屋でごちそうするのを常としていました。仕事中なので一応形だけと思ってビールを勧めたら、「これはどうも」とか言って遠慮する様子もありません。

ビールを飲みながら二人のうち丸顔で地方色のある中年委員の方は上機嫌に政治体制の話などをしています。こちらもご相伴でビールを飲みましたので、口が軽くなったせいか、タブーである共産党一党独裁のついて言及してしまいました。そうすると相手は急に真顔になり、中国は一党独裁ではない、ほかの政党もあるといいます。「そうなんですか、何という党ですか」と聞くと、彼は「国民党」といってニャっと笑いました。彼は気の利いた冗談で言ったつもりなのでしょうが、台湾を中国の一部とみなす以上国民党も中国の一政党とみなすことはありうることなのでなるほどと妙に感心してしましました。彼らは少し顔を赤くして午後の監査に戻りました。



直接ごちそうはしなくとも、仕事にかかわりのあるお役人に全員に対してつけ届けをします。以前は中秋節に月餅を送りました。月餅といってもピンからキリがありお偉いさんにはそれなりのものを送らないと失礼になります。最近はあまり月餅では喜ばれませんので、商品券を贈ります。100元から500元まで役職に応じて金額が決まっており、総勢100人は下りませんからトータルの金額もばかになりません。

所轄の警察署の係長クラスの警官も毎年年末にやってきて、総務課から千元の現金を貰って帰っていきます。そのお金は、見廻りなどのに対する謝礼という形なのですが、日本では考えられない慣習といえます。

工場の避難訓練を役人が見学

工場では毎年1回避難訓練をすることにしていました。日本で企業がやっているものとほとんど変わりません。火災が発生したとの放送の後各職場で隊列を組んで中庭に避難して点呼し、人数を報告します。そのあとで古い消火器を使って消火訓練を行います。油を染み込ませたぼろきれに火をつけて各班の代表者が順番に消火器で消しては交代します。

全社員が参加するのが原則ですが、3交代制なので1/3ほどしか参加できません。それでも700人近くになり、皆初めてなのか楽しそうにやっていました。最期に防災安全責任者の私が訓示を述べるというものでしたが、初回は張り切って、訓示を中国語でやりました。あらかじめ原稿を書いて、中国人スタッフにチェックしてもらって、原稿を読みながらの訓示でしたが、我ながらよくできたと自画自賛していました。

ところがあとで訓示を聞いていた人に感想を聞いてみたところ、何を言っているのかよく聞きとれなかったというではありませんか。がっかりしたのと同時に、内容が分からないのでは訓示にらないし、自己満足のために本来の目的がおろそかになったのでは本末転倒であると反省しました。次回からは、日本語で話をして、短いセンテンスごとに李課長に通訳してもらうことにしました。

ところで、この日本ではありふれたものである企業の避難訓練が中国では珍しかったらしく評判になり、地区の防災管理委員会のようなところから見学をさせてほしいという依頼がある年に来ました。来るものは拒まずの精神と、これも日本企業の地域貢献とばかりに受け入れました。当日お役人とそれを取材する記者やカメラマンの総勢10人程度が来て李課長が私を紹介してくれましたの簡単な挨拶をして、訓練が始まりました。

無事訓練が終わり、私が訓示をしようとしたその時、見学していた役人集団の一番上位の人が李課長に何かを話しかけたかと思ったら、マイクを受け取り整列している従業員に向けて訓話を始めたのです。その姿をカメラマンがしきりにシャッターを押しています。その写真を載せた記事を見た人は彼がこの避難訓練の主催者だと思うでしょう。

私は唖然としてその訓示を聞いていましたが残念ながら内容はよく理解できませんでした。「随分と失礼な話だな」と思いましたが、顔には出さず、そのあとでマイクを渡された私は用意していた内容の訓話を予定通りにして閉会としました。後に李課長にどうしてこうなったのかを問いただそうと思いましたが、彼が返答に困るのは目に見えていましたので、このことについてはその後も触れないことにしました。

→関連記事:中国のお役人さんにごちそうされて

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