上海の生活

上海でお世話になった中国のお医者さん

投稿日:4月 29, 2017 更新日:

海外の赴任に対しては会社が負担する医療保険があります。全額保障してくれるのですが赴任中での不良の自己や病気に対して治療費が保険で支払われます。赴任当時私は風邪のような症状に悩まされました。

体がだるく、頭が重く、セキやくしゃみも出るので軽い風邪かと思っていましたが1ヶ月過ぎても症状が変わらないので会社の車で1時間かけて上海市内の医院に行くことにしました。そこは医者から看護師、受付までの全ての中国人スタッフが日本語で対応してくれるという日本人向けの医院であってSクリニックと言いました。

Sクリニックの医者は6人ほどいましたが全員が日本の大学の医学部を卒業していましたので、皆さん日本語も堪能でした。風邪のような症状が続くと訴えて、診てもらった内科の黄先生は私を診察したあとで、流暢な日本語で「海外赴任者によくある症状なので問題はない。2ヶ月もすれば環境に慣れて直るでしょう」とあっさり言われました。私はそんなことはない、なにかほかの原因があるはずだと思いましたが、黄先生の言ったとおり2ヵ月後に症状はうそのようになくなりました。上海の汚れた空気に慣れるのに2ヶ月かかったということのようです。

その後、何度か診てもらいながら話をするうちに私と同じ大学の出身であることが分かり、学生時代の話しや奥さんが日本人で正月は日本で過ごすなどの話もするようになりました。私はもともと糖尿病を患っていましたが、持病の治療は海外赴任保険の対象外です。しかし、黄先生が上手く別の理由を書いてくれて治療を続けてくれまし阿多。定期的に血液検査をしてもらい血糖値だけでなくがんマークをチエックしてもらうことになったのです。



ある朝私は洗面所で中腰になっていた時に不用意にくしゃみをしてしまい腰に激痛を感じそのままへたり込んでしまいました。ぎっくり腰です。会社には2,3日休むと連絡しておとなしくマンションで寝ていましたが、動くとどうにも痛くて何もできません。

以前から定期的に年に2回ほどやっていしまうのですが、大抵3日も寝てると歩けるようになるのですが今回はどうも重症です。整形外科や理学療法など多くの治療を試みましたがいずれも効果がなく、むしろ痛いのを我慢して動いている方が治るのが早いと思っています。

とはいってもぎっくり腰をした直後は炎症を起こしているのでおとなしくしているにかぎります。3日経っても変化がないので、会社に連絡をして運転手さん二人に来てもらいSクリニックに車で連れて行ってもらうことにしました。車に乗るにも降りるにも二人に抱えられながらでないとできないありさまで何とも情けないと感じたものです。

さて、Sクリニックの整形外科担当医はドン・ガバチョ先生でした。後ろ手にしてヒョコヒョコ歩く姿が、ひょっこりひょうたん島のドン・ガバチョの歩き方にそっくりなので自分一人で勝手にそう呼んでいました。なんとなく軽薄な感じもガバチョにそっくりなのであまりかかりたくなかったのは事実です。しかし、そうもいっていられない状況になってしまったので、止む無く痛み止めでも打ってもらうことにしました。

ガバチョ先生は注射ではなく鍼を打つことを勧めました。鍼は日本でも打ったことはありません。鍼というと必殺仕掛け人の梅安が殺しの道具として使うイメージが強く、またガバチョ先生の腕にも不安がありましたので躊躇していると、中国4千年の歴史を持つ東洋医学を信じろとばかりに説得されついに了承をしてしましました。

一緒に来てもらった二人に助けられて診療ベッドに俯せに寝たところに腰に何本かの鍼を打ちこまれました。二人に車まで戻ってもらったあと、若い看護婦さんが来て鍼に電流を流して小一時間じっとしていました。やがて先生がきて起き上がってみてくださいというので起き上がると痛みが嘘のようにしません。立っても何も痛みを感じません。ガバチョ先生はニコニコして、どうだと言わんばかりですが、さすがにその時はとても名医に見えたものです。外の車で控えていた運転手さんたちも、何事もなかったように歩いて戻って来た私を見て驚いていました。

翌日から私は仕事に出て、ことあるごとに中国4千年の医学はすごいと会社の人たちにほめちぎりました。

やがて2週間が過ぎ、そのうちだんだん痛みがぶり返してきた私はSクリニックに向かいガバチョ先生に鍼を再度打ってもらいました。しかし、今度は全く効きません。鍼を打つ前と打った後で何も変わらないのです。ガバチョ先生は不思議そうに首を傾げていましたが、中国4千年の医学は一度しか効かなかったということになります。

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中国での歯の治療で体験したこと

歯の治療も海外赴任医療保険の対象外でした。ただし、現地払いの後に領収書添付で請求すれば会社から7割が戻る仕組みになっていました。ある時ついに虫歯にかかり痛くてどうにもしようがありません。

李係長に相談すると住んでいる区の歯科医院に行けばすぐに治療してくれて安いというので、早速連れて行ってもらいました。あまり衛生的とは言えないその医院で李係長が手続きしているあいだ待合室で他の患者と並んで待っていると自分は今中国で生活しているのだなという実感がわきました。

30分ほど待って名前を呼ばれたのですが私より先に待っている人が大勢いるのに私が先に呼ばれましたので、李係長が頼み込んだのかもしれません。治療台のところに行くと女医さんでした。30代かと思われましたが、肉付きの良いというよりも太ったといった方が正しい体格で、驚いたことにマスクをしていません。

李係長から症状を聞いた女医さんは私の口の中を確認した後に、ドリルのアームを引き寄せたかと思うと治療台を後ろに倒さずにそのまま私の頭を左手で抱え込んで胸に押し付けて固定した後、右手でのドリルで歯を削り始めました。丁度小さな子供を膝にのせて母親が歯を磨いているような格好を想像してください。

私は彼女の豊満な胸の谷間に顔を押し付けられるような形になり目を白黒させていたに違いません。李係長は私を見ておかしそうに笑っていました。その姿勢にも馴れて、口を漱ぐときにあらためて治療機械を見るとかなり汚れていることが気が付きました。汚れ一つない治療器に見慣れている日本人には当たり前のことが当たり前でないこともあることを思い知らさせるのでした。

2回目にその歯科医院に行ったのはそれから2週間ほど過ぎたころです。削ったところに詰める金属ができたのでした。今度は40才前後の男性の医師でしたが同様にマスクをしていません。おまけにガムをクチャクチャと噛みながら金属を被せる作業をするのでした。私は目の前でくちゃくちゃ動く口元を眺めながら、ここには二度と来るまいと思いました。

それ以降何度も歯の治療をしなければならないことになり、上海市内の日本総領事館に近い、日本人が多く住む地域にある日本人向け歯医者に通うことにしました。そこではスタッフは日本語のできる中国人でしたが歯医者は日本人で若い女医さんでした。症状や要望を自分の言葉で医者に言うことができましたので、やはり身体に関することは言葉の通じるところでなくては駄目だと改めて感じました。

その歯医者の入っているビルは全体が大きなマンションになっていて、上海駐在員の家族向けの保育所もあるほど、日本人が多く住んでいるところでした。そのために小さいですが日本食材店があり、豆腐や納豆、うどんそば、肉魚と日本人が食べる食材がそろっていましたし、お酒も日本酒、焼酎、ウィスキーと日本のものが品数は少ないですがそろっていましたので歯の治療の帰りには必ず寄って買い物をしました。

日本人の奥さんも連れだって夕飯のおかずを買いに来て、日本語でおしゃべりをしているのを聞くとはなしに聞いていると日本いるような錯覚を起こします。私は車で待っていてくれた運転手の周さんには必ず日本のお菓子をひとつ買っておすそ分けすることにしていました。彼は嬉しそうにお礼をいいますが、それを運転の合間に開けて食べるというようなことは絶対にしませんでした。

車に乗って帰るのに1時間ほどかかる距離にありますが、車に揺られて行き過ぎる上海の街並みを眺めながら、今夜は冷奴と焼魚で一杯やろうなどと考えるのはこの上もなく楽しい時間でしたので、歯医者に通うことが楽しみのひとつになりました。

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