中国で働く人々

弁当業者の選定で見えてきたこと

投稿日:3月 26, 2017 更新日:

中国の上海工場では昼、夕、深夜の3回従業員用の食事をいわゆるお弁当屋に委託していましたが、あるときそれまで委託していた弁当業者を変えることになりました。替える理由はいくつかありましたが。一つに弁当の欠品が挙げられました。弁当が足りなくて食事にありつけない従業員がでることが時々起こるようになったことです。

ある土曜日の休日に家でのんびりしているときに総務課長の李さんから電話が入り、弁当にありつけなかった授業員が騒ぎ出し、手に負えないのですぐに来てほしいとのことでした。当時は仕事が忙しく、工場は休日も稼働していました。

会社の運転手も休みで迎えの車も用意できないし、タクシーを拾える見込みもないので着替えて、歩いて工場に向かいました。15分ほど歩いて工場についた時は騒ぎも収まりみな仕事に戻ったあとでした。

総務課長に状況を聞いたところ、弁当が50人分ほど足りなくなり業者がカップ麺を買いに行っている間に、或るものが騒ぎ出しそれに同調するものが出だして騒ぎが大きくなったが、比較的早くカップ麺が届いたので収まったとのこと。

またある休日の昼食時にも、おかずの中にハエの死骸が入っていたと数人が騒ぎ出し騒動になった時もあったとのことであった。騒ぎは決まって日本人がいない休日出勤の時におきていた。日本人がいるときに騒ぎを起こせば厳罰に処される可能性があるからである。

今の業者も他に問題がないわけではないが、課長の李さんによると、他の業者も似たようなものなので、敢て時間と労力をかけて業者を変える必要もないとのことでした。最近別の業者が盛んに売り込みをかけてきているが、李課長が反対をしているのでそのままになっているのでした。



彼の推理では実際に騒ぎを起こしているのは2人だけで、あとは扇動されているだけなのであり、その2人は、売り込みをかけてきている業者から金を貰って騒ぎを起こしているのだろうとのことでした。

もう一つの理由は弁当が美味しくなく給料から引かれる食事代と弁当の内容があっていないという声が上がってきていることでした。食堂には目安箱がおいてあり誰でもが会社に関するどんなことでも意見を言えるようになっていましたが、その中に弁当への不満が時々ありました。これは会社としても無視できないものでした。

その他いくつかの理由もあって、ついに弁当業者を変更することになりました。

1500人もいる工場であれ通常は土日も稼働しているので、弁当代の総額はかなりの金額になり魅力あるビジネスとなっています。従って業者を募集したところ、いくつもの業者が応募してきました。

といっても、公募したわけではありませんので、どのように募集したのかよくわからない形で現地人スタッフから上がってきた候補から選択すするしかありません。そこに、スタッフと業者の間に少なからず利害関係が発生しているはずですが、あまり詮索しても事は進まないのが現実です。

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上海の水道水は飲料に向かないのに厨房には水道水しかない現実

2,3の業者に絞り実際に調理現場も視察しました。単価が高いところは設備もしっかりしていて衛生的でした。ただ気になったのは調理に使う水はすべて水道水だということです。上海の水道水は飲料用には向かないので、家庭でも職場でもどこでも飲料水をボトルで購入して飲んでいるわけですから、飲食店や弁当屋の厨房では水道水は使っていないだろう漠然と思っていました。しかし、これらの厨房にある飲料水用のボトルは従業員用だけであって、調理用のものどこを見てもありません。
調理に使う水の量からすれば市販のボトルなどで間に合うはずもなく、調理用に水道水を使っていることは考えてみればわかるはずなのですが、どこかでそのことは考えまいという意識が働いていたと思われます。上海の水道水が加熱したあととはいえ大量に自分の体に取り込まれているという現実に直面したわけです。

しかし、それで何年もその状態で下痢ひとつしていないのですから、上海の水道水は加熱すれば問題ないことを身をもって証明していることになります。逆に言えば水道水の水が加熱されないまま付着した食べ物は必ずしも大丈夫とは言えないわけです。

しかし考えてみると、中国の料理は一度加熱したものしか出てきていないよう気がしますので、あまりこのことについて考える必要もないかもしれません。中国では野菜を生では食べませんから、野菜サラダというメニューはありませんが、もし出てきたら水道水で洗われた野菜がそのまま出てきた可能性が高いということになります。

 

どこの地方の料理が旨いか―従業員にアンケートを実施 

新しい弁当業者の選定の前に、会社としても従業員の福利厚生に気を使っているところなので、食堂に関するアンケートを全従業員に行ってみました。弁当の単価は昼と夜は1食8元で朝が4元でしたが、値段と内容があっていないという意見が圧倒的に多かったです。

同じ8元で街中ではもっとうまいものが食べられると。あと1元高くてもいいので質を上げてほしいという意見も多かったです。また、中国では地方により料理の味が大分違うわけで、上海料理は比較的薄味だと言われています。工場ではいろいろな地方から出てきている人いますので、アンケートではどこの地方の料理に近いものを望むかという問いもしてみました。

アンケートの答えは、期待していたどこの地方の料理がいいということよりも、麺を食べたいとの答えが多く出されました。それまでの業者にも一度麺をメニューに加えられないか打診したことがありましたが、対応できなとのことでした。麺はその食堂ないで調理をしなければならず人や道具を新たに用意しなければならないからです。そこで、新しい弁当業者は麺の対応ができるところにしようということになりました。

選考に残った弁当業者に対して、各職場からいろいろな地方の出身者を選んで試食会を実施したうえで、一番おいしいとの評判を得た業者に最終的に決定しました。

安い日本食弁当の味は如何か

工場内では公にはしませんでしたが、最終業者を決めた要因の一つに、同じ9元で日本人には日本食の弁当を出すというのがありました。それまで従業員と同じ弁当を食べるという建前は形だけで実際にはインスタント食品などで凌いでいたという実態がありましたが、同じ値段であれば、日本人だけが特別いいものを食べていると思われるのを避けられるということになるので、日本人従業員もみんな喜んで日本食の弁当を希望しました。

さて、期待した日本食の弁当は日本料理店が出す日本人向けの弁当には遠く及ばないもののまあまあ食べられるものでしたので、それ以降はカップ麺はたまに食べる程度になりました。

ところがだんだん日本食弁当の内容が従業員と同じようなものになってきました。仕事を取りたいばかりに日本食弁当を安い値段で供給するという無理をしていたのを、徐々に通常の弁当のレベルに戻そうとしているのがみてとれました。これにははっきりとクレームを付けてもとのレベルにもどさせました。

常にクレームをつけていないと、利益を出すために品質がどんどん落ちてくるのです。日本では価格が安くても品質は良くて当たり前というのが常識ですが、必ずしも世界の常識ではないのです。

待ちに待った麺コーナーに長蛇の列

さて、食堂に念願の麺調理場ができましたが、衛生上の問題で市政府の認可が必要ですがすぐには下りず、麺料理はしばらくお預けになりました。やっと認可が下りた時は麺コーナーには長蛇の列ができました。

私も一緒に並びました。実際に目の前で麺を作ってから茹でるので時間がかかりどうしても待ち時間が長くなります。職人は捏(こ)ねた小麦粉をまず一つに丸め、両手で引っ張って伸ばしたあとそれを二つに折ります。それをまた伸ばして細くして二つに折ります。これを繰り返し行い、やがて細い面が出来上がるのです。

それは見ていても飽きないもので、街の食堂でも見ることができますが、工場の食堂でそこまでやるとは思ってもいませんでした。

麺の味は日本のラーメンとは全く別物で、いつも食堂で出ている白湯のスープに麺が入っただけというもので、正直言って美味しいとは感じられず、結局食べたのはその時の1回だけになってしまいました。

→関連記事:上海工場で現地社員が食べているお弁当の中身

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→関連記事:中国人スタッフ二人の流した涙
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